それこそ

僕はお酒をあまり飲まないのですが、飲みの席というものには参加したことがありまして。その参加した飲みの席というのはインターネットで言うリア充的な人たちがいるような席だったんですが、そこでびっくりしたのがイッキコールというやつです。あの人たち、飲んで飲んで具志堅!飲んで飲んで具志堅!飲んで飲んで具志堅!ハイ!ワンツー!ってのをテンポ良く、おもしろいこと言いましたみたいな表情で言うんです。飲んで飲んで具志堅、のとこでこれからおもしろいことを言うぞ言うぞみたいな表情をして、ワンツー!のとこでハイ今おもしろいこと言いましたみたいな表情をするんです。これはとんでもないですよ。だって、おもしろいこと言いましたみたいな表情をしているのに、言っているのはおもしろくないことなんです。口の形はおもしろいこと言いましたみたいな形なのに、その口から発せられた言葉がおもしろくない言葉なんです。驚きました。人間不信になるかと思いました。そっちがおもしろいこと言いましたみたいな表情をしてるから、しゃあないせっかくだからいっちょ聞いてやろうみたいな感じでそっちに寄ったのに、いざ腰を据えて聞いてみたらおもしろくないことを言っていたんです。一瞬何が起こったのか分かりませんでした。殴られたのかと思いました。
例えば、おもしろいことを言いながらのおもしろいこと言いましたみたいな表情、これならまだいいんです。おもしろいこと言いましたみたいな表情が不愉快ですが、それこそワンツー!と顔を殴りたいところですが、おもしろいことを言っています。不愉快ながら正着です。でもしかし今回は、おもしろいことを微塵も言っていないという状況、おもしろいことを一文字も言っていないという状況でのおもしろいこと言いましたみたいな表情なんです。発言の辻褄が合っていません。犯人かもしれません。
まあとはいえです。もちろん僕も頭が堅いわけではありませんから、自分を疑いもしました。もしかしたらこれはおもしろいんじゃないか、二番目の具志堅の時点で爆笑なんじゃないか、そう思って「飲んで飲んで具志堅→飲んで飲んで具志堅→飲んで飲んで具志堅→掛け声→ワンツー」という構造を図に書き起こしてみました。最初の食へんを書いた時点で結論は出ていましたがやっぱりこれはおもしろくないことです。間違いありません。僕が書いたのはおもしろくない言葉でした。僕はおもしろくない言葉を書いていました。僕の指は一瞬、おもしろくない言葉を書いている指になっていました。申請をすれば強制的な権限を行使できると思います。
それこそワンツー!と顔を殴りたいところですが、のところについては反省しています。